2022年の冬に念願の移住を果たした私達、ちょうど1年が経とうとしています。
冬の間は引っ越しの片づけや恐ろしく寒い小原の生活に慣れるのにバタバタと過ぎていきました。
しょっちゅうじゃないけど気温が低いだけに雪が降るとこんなだしね。
そりゃもうストーブつけてもこたつから出られませんよ。
ただ、わたくし所長ゆか、移住の目的の大きな一つが畑をやりたい!ということでして。
名古屋時代10坪程度の住宅に囲まれた日当たり悪い家の裏の空き地を畑にして果樹から野菜からこじんまりと8年にわたり栽培していたわけですが、最初は見様見真似で始めても調子よく育っていたものが、やればやるほど問題が出てくる。
問題が出るたびに調べて対策を打つ。もうプラスプラスのとめどなく続く追いかけっ子のようになってもやっぱり思ったように育たないという状況に追い込まれ、根本的に何かが違うんじゃないかと思い至ったわけです。
年々育ちは悪くなるものの、自分の手で育てて美味しい野菜ができたときの喜びも知ってるし、調べれば調べるほど野菜を育てるということにハマってもいた、
そんな中『無肥料で野菜を栽培する』ということに出会います。
一応最初の頃から趣味でやる畑くらい無農薬でやりたいという漠然とした思いはあったのですが、ありとあらゆる堆肥や肥料や天然資材と言われるものまで試した畑では虫が大量発生して葉物は既に無農薬でやるなんて無理な状態でした。
ただ、無肥料で栽培した野菜、硝酸態窒素の少ない野菜を虫は食べないという、入りとしては虫対策からの興味でしたが、知るほどに自分がやりたい目指すべきはこれだと思うようになりました。
思い立ったらやるしかない!土壌改良だ!と意気込んで開始したのが2021年の秋。
でかいドリルを持ち出し
人でも埋めるつもりかって穴を掘り
整地し資材を入れ数ヶ月の後、
よし!畑やるぞ!!
って意気込んでちょうど夏野菜を植え終えたあたりの2022年5月、前々から探していた移住先の「これぞ」という場所が見つかり、あれよあれよと(そのあたりの詳しいいきさつはこちら)6月には年末に移住することが決定。
畑ーーー!あんなに頑張って土作りしたのにーーーー!!!!
これまで肥料を入れていた畑は土壌改良の結果が出るには数年かかると…
結局のところゴーヤが異常なまでに育った以外努力の結果が出たのかどうかすらわからない。
ただ移住した先は一部を除いて何年も耕作していなかった畑だし、何倍も広くなって日当たりも抜群。無肥料でやる土作りに必要となる草や木や籾殻やそういったものは過分なまでにある。そんな環境むしろ幸せじゃないか、そう思い直してこの春、一からスタートをしました。
本当に恵まれていたと思うのはここの畑の土、水はけが良くてすごく柔らかい。この辺り一帯砂場(さば)だと言われて山の土でも砂っぽいんです。そのせいで大雨降ると山が崩れやすいって恐怖はあるんですが…これからやろうとする畑にはすごくありがたく、長い棒を突き刺せば1メートル位軽くズブズブ刺さります。硬盤層が浅いところになかったんです。
そのおかげで前にやった、人埋めれそうな穴掘って埋め戻すって作業が省略できました。
しかも水はけはいいけどすぐ裏に山背負ってる土地なので山から染み出す水であまり乾燥もしないんです。無肥料な上、無冠水での栽培が容易にできます。
なんて良い畑!
更に
耕運機ある!これまで鍬で頑張っていたところに文明の利器!
どんどん耕せる。
こんな面積が30分もかからない。今後畑は毎回耕すわけではないのですが、この耕運機が後々にも大活躍することになります。残しておいてくれた家主さんほんっとうーーにありがとうございます!!
そんなこんなで始めた栽培1年目。
「まぁ1年目はビギナーズラック的に何やっても育つからね」なんて言われたりもしましたが、ええ、そりゃあまぁ育ちましたよ。面白いくらいに。
それでも2023年の11月に入った今、夏野菜も終わりに近づき2クール目に入る場所がいくつもある中、肥料切れを起こすことなく秋冬野菜もすくすく育っているのは無肥料栽培がうまくいっているからなんじゃないかと思っています。
そしてこの畑でやりたかったことのもう一つが自家採種によるエンドレス栽培。
F1ではない固定種の種を買って育て、自家採種してまた種をまく。種もその土地や気候を記憶するなんてことも聞いたことがあり、同じ土地で栽培したほうが良かろう。しかも毎年苗や種を買う費用も浮かせられるしね。そんな考えで伝統野菜のかぼちゃなどこれまで数年繰り返し栽培してきたものもあるのですが、やっぱり小さな畑では大容量で入っている種は無駄が多く苗を買ってしまっていたのですが、これだけの広さがあるなら種を買って自家採種をやってみようと思えたわけです。
しかも畑はここだけに留まらず耕作放棄地の元田んぼなど、問題は多いながらも順次開拓を進めています。耕運機大活躍。広くなるならなおさら種でやるしかない!
私がここで実践したいのは、山や田畑から得られるものを資材に土作りをし、物価高騰に左右される肥料や農薬に頼ることなく、毎年種を取り種を繋いでいく、本当の持続可能な循環型の農業ができるんじゃないか、そんなことを里山贅たく研究所としてやってみたいと思っています。
そのためにきちんと手を入れた里山は過分なまでに資材は豊富。それで安心で美味しい野菜が作れたらこんなに豊かなことってないよね、って思うんです。
ここに来たから分かる、そんな単純じゃない獣害を始めとする様々な問題もありますが、里山だからこそ得られる贅たくを追い求めて、畑には特に力を入れて頑張っていこうと思います。